高い耐久・加工性が魅力のポリカーボネート
アクリル樹脂が開発されてから25年後の1958年に、ドイツの化学工業製品メーカーのバイエル社が開発したものがポリカーボネートです。
ポリカーボネートは、一般の工業製品から軍事目的まで幅広く利用されている素材です。
ポリカやPC等と略されて呼ばれるプラスチック素材ですが、その最大の特長は高い耐久性です。
その高い耐久性は、他のプラスチック素材と比べて、最も高い耐衝撃性を持っていることと、耐候性や耐熱性の高さ、さらに高い透明度を併せ持っています。
中でも、ポリカーボネートの耐衝撃性は、ABS樹脂の5倍、塩化ビニール樹脂の10倍、ポリエチレンやアクリル樹脂の50倍にも達し、ハンマー等で強打しても割れないぐらいの耐衝撃性を持ち、他の素材とくらべると群を抜いて際立っています。
耐熱温度も、他の素材が100℃以下であるのに対して130℃と高く、総合的な耐久性は、ポリカーボネートがプラスチック素材の頂点にあるといっても過言ではないでしょう。
また、加工に優れているという特性も併せ持つポリカーボネートは、壊れにくい強度とユーザーを魅了する高いデザイン性を再現することが可能なので、プラスチック成型に適した素材として、家電製品や日用品等のエンドユーザー向け製品に多く使用されています。
代表的な例としては、スマートフォンやiPhoneのボディ等です。
他にも、カメラのボディや双眼鏡等のボディも、ポリカーボネートが使用されているケースが多く、スマートフォン等と同じように、屋外使用が多い物であっても、落としても壊れない強い耐衝撃性と、雨風等の外気にさらされても耐えられる耐候性に優れているので、身の回りで使用する製品に対して適していると言えます。
身の回りで使用する製品以外でも、ポリカーボネートの特性を最大限に活かして、戦闘機等の部品、自動車等のライトカバーやオートバイのヘルメット等にも適応性があります。
上記で紹介した使用例は、ポリカーボネートが利用されている製品等の一部に過ぎず、他にも食器や筆記用具や文房具、メガネやサングラスやゴーグル等、透明性を活かした多くの製品の材料としても使用されています。
このように、ポリカーボネートはその優れた物性で幅広く利用されていますが、薬品耐久性はあまり良いとは言えず、特にアルカリ剤や溶剤では劣化しやすく、接着剤等の使用ができません。
また、エステル結合を持つため、高温高湿度の環境下では加水分解してしまいますし、引張強度を超える力をかけると、白くなり透明度が著しく低下してしまいます。